🌹密会🌹
第12章 🌹March🌹(終章)-3
「そうか...お前はそう思っていたのか。あれはサプライズのつもりだったんだ。不安な事は全て聞いてくれて良かった。包み隠さず全てお前に伝えていたと思う。あの頃から隠す気は毛頭無かったからな。」
「そう...だったんですね。私、それ以上を望んだら、もう相手にされないのかなってずっと思い込んでいました。1、2月貴方の誘いを断ったのは、本気になってしまった事を隠す自信が無かったからです。出来るだけ貴方と長く繋がっていたかったので。」
「なるほどな...つくづくお前から見て私は嫌な男に映るな。自分で言っておいてアレだが私の何処に惚れる要素があるんだ?」
「黎一さんはいつも私に優しく接してくれました。セックスも、他の事でも何をするにしてもまず私への配慮があって、私の気持ちを優先してくれたように思えたから。例え私を繋ぎ止める為だったとしても愛されているみたいだなって思ってた。他にも色々あるけど、貴方のそういう優しさが一番大きい。そういう理由じゃ駄目...?」
惚れる理由としては、やや薄いだろうか?
美月は心配になって日比谷教頭の顔色を伺うように彼の表情を横目で確かめようとした。
「駄目なわけがないだろう、美月。」
美月の耳元に唇を寄せてそう答えた彼の切羽詰まった、吐息混じりの声が彼女の脳髄に響く。
再び、彼女の手の甲を包み込むように彼の角ばった大きな手が重ねられていた。