🌹密会🌹
第12章 🌹March🌹(終章)-3
「三原先生。」
そのSOSが奇跡的に日比谷教頭の元に届いたらしい。
彼は凛とした男らしい声で三原先生を呼んだのだ。
すると三原先生の般若のような顔が一瞬にして恋する乙女の顔へと変貌を遂げる。
「彼女は何も悪い事はしていないんだ。むしろ私の方が彼女に強引に迫ってしまってね...。にも関わらず、彼女は私との結婚を快く受けてくれたんだよ。あまり私の妻を責めないでいただきたい。」
穏やかな声だが、しっかりと日比谷教頭に釘を刺された三原先生は、魂が抜けたかの如く口をあんぐり開けた後、白目を剥いて撃沈してしまった。
「美月、また後でな。」
柔和な微笑みを浮かべた日比谷教頭は、美月の頭をひと撫ですると、去っていった。
彼の触れられた部分を指先で確認しながら、一人赤くなっていると、隣でもぞりと動く気配を感じて、美月は身体を縮こませた。
「結婚式、絶対私の事呼びなさいよ!!!親友なんだから!!!」
今にも涙腺が決壊しそうな三原先生はそう吐き捨てると次の瞬間、「笹田ぁ〜!!一緒に飲み行くぞォ〜!!」とオラついた声で、新人職員笹田君に絡んでいった。
笹田君...ご愁傷様。
うちの三原先生がご迷惑をおかけします。
ちなみに彼女、酒豪です。
頑張って。
美月は、笹田を大変哀れに思いながら、心の中で彼の検討を祈ったのであった。