🌹密会🌹
第6章 🌹September🌹
「無理に走らなくていい。で、原因は?」
「ただの風邪だと言われました。高熱が出る2週間ぐらい前から身体の怠さがあったので、多分疲労が原因かと。」
「9月はデカイ学校行事があるからな。クラス担任を受け持ってる上に、吹奏楽部の顧問だろう?文化祭指導で一気に疲れたんじゃないか?」
「...そうですね、文化祭前からちょっと身体がしんどくて...。休日もゆっくりしてたつもりだったんですけど、中々疲れが抜けなくて...」
「お前は真面目だからな。無理が祟って体調を崩したんだろう。今日はゆっくり休むといい。」
「ありがとうございます...。」
こちらの体調を気遣う言葉に、私は自然と心が温まるのを感じた。再び車を発車させた彼は、帰り道、更に薬局とコンビニに寄ると、車内に私を残し、ビニール袋を下げて戻ってきた。
「何も無いよりはマシだろう。」と言って、私の方へ手渡したビニール袋の中は、熱冷ましや、ポカリやお粥等のレトルト食品や飲料水が入っていた。
「お気遣い、本当にありがとうございます。何から何まで本当に助かりました。」
自宅マンション前の駐車場に戻ってきた彼の車の中で、私は深々と頭を下げる。「それではまた。」と言って、助手席から降りるようとしたが、咄嗟に彼に力強く腕を掴まれた。