🌹密会🌹
第9章 🌹February🌹
けたたましく鳴り響く目覚まし時計によって、ベッドから飛び起きる。
良かった...なんだ、夢か...。
強制的に現実に引き戻されたおかげで、悪夢から解放された私は、ホッと息を吐いた。
身体に纏わりつく汗をシャワーで洗い流し、身支度を済ませるといつも通りに出勤する。
日付を確認すれば、2/14日バレンタイン。恋人、好きな人、友人にチョコレートをプレゼントする特別な日。
お世話になっている同僚数名分の義理チョコと日比谷教頭に渡す予定のチョコが入ったトートバックはずっしりと重い。
胸糞悪い夢のせいで、校門を潜ってこちらへ挨拶をしてきた男子生徒に引き攣った笑みで返してしまった。
夢は夢。今から仕事。切り替えないと。
自分に喝を入れると、職員室の扉を開けて室内に入る。職員会議やミーティングが行われる前に済ませてしまおうと既に着席して仕事に取り掛かっている同僚に、声をかけて義理チョコを配る。
大体配り終えたところで、「おはようございます〜☆」と活気に溢れた声が聞こえて振り返る。黒髪をポニーテールに結い、オフィス服にしては少し派手な赤いニットワンピースに身を包んだ三原先生だった。