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副業は魔法少女ッ!

第4章 想いの迷い子



 魔法少女は危険を伴う肉体労働、その分、固有魔法も備わって、金銭的な対価も大きい。掃いて捨てるほどある案件を撥ねのけていく明珠を見ていて、ゆいかは自分がどれだけのリスクを冒してきたかを痛感する。延命のためにやむを得なかったゆいかはともかく、ただ同じ場所に立ってくれた彼女に頭が上がらない。

 談笑しているなずな達の向こうから、最近入ったばかりの栗林達が、ゆいからに視線を向けていた。


「ごめん、コピー独占しちゃってた。一緒に見よう」

「いいえ、お構いなく、森田さんと私、時間あるので」

「ただ、葉桐さん達、仲良いなと思って。栗林さんと私には、眩しいです。自分の孤独さが身に染みる……」

「あぁーっ、恋がしたい……モテのコツって、ありますか?!」

「えぇっと……」

「そうだ、なずなさんも彼氏持ちだったよね?なずなさんは、どうやって付き合い始めたんですか」


 唐突に話題を振られたなずなのツインテールが、僅かに揺れた。桜色と濃いピンク、遠目でも彼女だと見分けのつくツートーンの長い耳は、季節の移り変わりなどものともしないで、今日も鮮やかで淡いロリィタ服と調和している。
 
 希望を確信した目をした栗林達の注目を受けて、顔を上げた間際、刹那なずなに落ちた薄暗さを、ゆいかは見逃さなかった。
 八神すぐるとの馴れ初めから今に至るまで、問われるままに答える彼女は、とても最愛の男の話をしている顔ではない。

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