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副業は魔法少女ッ!

第4章 想いの迷い子








「ということがあったので、なずなちゃんを略奪するのは、そんなに難しくなさそうです」

「ゆいかちゃん、どこまでフィクション?」

「こんなセンシティブな話の流れで、脚色しません。多分ですけど、なずなちゃんの件はなつるさん次第です」



 翌日、ゆいかは昨夜の一部終始をなつるに話した。

 ゆいかに唇を許したなずなは、戯れを超えたキスまで受け入れて、おとがいを捕らえていた手が今度こそ彼女の身体に下りても、はにかんで脚をすり合わせただけだった。

 恋愛感情は抜きにせよ、ゆいかはなずなに、すぐる以外の人間にも、目を向かせたかっただけだ。
 独善的な男に傾いた情熱を、彼女に一瞬でも疑念を持たせたかっただけなのに、性的なことにはゆいかよりずっと馴れてきた肉体をまさぐる内に、同情も、彼女を桎梏するものへの反発心も、二の次になっていたのではないか。


 剥いたばかりの卵のような、とは形容し難い彼女の肌は、古傷さえ愛おしかった。

 いつから暴虐に遭っているのか。すぐるとは実家が近く、中学時分から交際していたという話から、既に十年近く今の関係が始まっていたかも知れない。

 もっともどんな推測も、彼女に直接問わなければ、それらは推測の域を超えない。痛ましい半裸を前にして、ゆいかがあれこれ無意味な仮設を立てていたのも、彼女を寝台に促していた辺りまでだ。

 手のひらに覆えば指の間から白い肉が慎ましくはみ出るくらいの乳房をつんと尖らせて、ナイトウェアのボトムだけを残したなずなは、客人なのにと寝台に上がることを躊躇った。そのくせ灯りは消せと主張した彼女に、ゆいかは、自分も従う代わりに、彼女にも遠慮を打ち捨てるよう要求した。

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