
副業は魔法少女ッ!
第4章 想いの迷い子
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ここ数ヶ月はさんざんでも、傍目から見て、ゆいかはまだ羨望の対象らしい。
幸運の秘訣を聞かせて欲しい、恋をしてますます綺麗になった。
夏以降、特に田中や明園達を中心とした部署内の社員達やルシナメローゼの栗林達は、ゆいかに楽観的な台詞を向けることを、より惜しまくなっていた。栗林達に関しては、例えばなずなが泣き腫らした翌日でも、「彼氏と同棲中の幸せな大学生」として彼女に接する。仕事仲間の顔色など、そこまでよく見ていないものなのかも知れない。
「明珠が綺麗なのは事実だし、謙遜もほどほどにしてるけどね」
「ゆいかのファンの子達、私の話もするんだ?」
「それなら、明珠のファンだと思うよ。みんな」
アイスティーテイストのサワーを飲むゆいかの視界の片隅で、化粧を落としてきたばかりの顔にローションを叩き込みながら、明珠が笑った。
ゆいかに注目を向けたがる女達など、明珠に興味があるだけだ。それは一年以上前から、肌に感じてきたことだ。生活感もない、恋愛遍歴も明らかではない明珠と急に睦まやかになった入社一年目の事務員に、当時は今より社内での好奇心が集まっていた。人の噂も七十五日で、そのあとは別の社員の寿退社や不倫騒動などがあって、ゆいか達の話題も薄れたが、元々、明珠は代表取締役という地位を差し引いても、人気が高い。彼女を目で追っていれば、半ばおまけでゆいかが付く。
