
副業は魔法少女ッ!
第4章 想いの迷い子
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読書サークルは、実質、昼餉仲間を作るための集団だ。
その会合に、なずなは今日も顔を出していた。平らげた弁当箱を仕舞ったあとは、開いた雑誌を一ページも捲っていない。
本を読んでいる部員は、一回生の半数だけだ。他の顔触れはファッション誌を広げているか、側に申し分程度に漫画を置いて、談笑している。
Angelic Prettyがよく扱われている愛読誌は、今月もなずなの胸を高揚させた。見目麗しいモデル達が可憐に新作を着こなす見開きが目に飛び込んだ瞬間は、この世の些細な不満など取るに足りないものと感じたのに、なずなは、ふと気付けば自分自身の将来を懸念している。魔法少女のアルバイトがあるから、目先の収入の心配はない。心許ないのは、すぐるとの関係だ。
「なずな、魂吹っ飛んでるよ。どうした?」
とりどりのぬいぐるみ達の溢れる白いプレゼントボックスの描かれたワンピースが面積の多くを占める誌面を、赤いネイルを乗せた少女の手が覆った。
肩の開いたグレーのセーターにベージュのシフォンのロングスカート。緩く巻いた茶髪を頭のほぼ天辺でまとめたサークル仲間が、なずなを覗き込んでいた。友人の友穂だ。彼女の隣で、美波も、同じく何か言いたげな顔をなずなに向けている。
