
副業は魔法少女ッ!
第4章 想いの迷い子
ォ"ォ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"…………
不快な刺激が、なずなの聴覚を戦慄かせる。おどろおどろしい怨嗟の呻吟は、数をこなしても慣れない。
またしてもとり憑いた人間を見切ってきた黒い怨嗟は、今しがたの光で若干の弱体化を見せたものの、別の男子高校生達を乗っ取っていた暗黒が、彼らを離れて加勢した。
「仲間意識なんて……っ!そこは感心するけれど、仲良く石に還って頂戴!」
薄紫の巻きスカートを翻して、なつるが手のひらを怨嗟に向けた。
突風が起きる。
明滅する光の残像を食い千切らんとばかりに暴れていた黒い塊が、粉砕して仲間の二の舞を踏む。
あとひと押しだ。
なずなは、膝をついてタイルの床に指を当てた。
ゲームセンターに地階はない。基盤のコンクリートを辿っていくと、地球という星の温もりを探り当てるのは容易かった。
…──少しの間、吸引して。
念じた途端、全ての怨嗟達が動きを止めた。正確には、身体と呼べるかも怪しい四つの本体全てが、各々、どこかしらの一点を吸盤に捕らわれた状態になったのだ。背や下半身がタイルから離れなくなった暗澹は、さっきの少女達のように、招かれざる客達に鋭い目つきを向けている。……かのように見える。
