
副業は魔法少女ッ!
第4章 想いの迷い子
「何これ!何が起きてるのッ……ヒッ……」
「落ち着こう!台風だ……いや、地震だ……わぁぁァァッ!!……」
「違うよ……天災であんなの見えるはずないよぉ……ッっ、もうやだァァッ……」
ホラー映画の登場人物を彷彿とする、声の主を探す。
なずなは、手を握り合う男と女の姿を認めた。
三十代くらいと見られる二人組は、見ず知らずの学生達から身に覚えのない因縁をつけられて、その彼らがようやくおとなしくなったかと思うや、正体不明の轟音やら嵐やらと銀の光が正面衝突したのを目撃したのだ。怪現象に巻き込まれたとでも思い込んでいるのだろう。
「まずい……誤魔化せなくなってきてる、なずなちゃんは、とどめ頼める?」
「やってみますっ」
なつるが最初に捕らえた制服姿の少女達は、失神している。怨嗟が差し響いていたせいで、緊縛の獲物になった時はやんちゃな見た目に映っていたが、しおらしく寄り添う二人は、どこにでもいる少女達と変わらない。彼女達から鎖をほどいたなつるが、二次被害の当事者達に近づいていく。なずなも体験したことのある、人の心身に干渉する彼女の魔法に抱かれる社会人達を横目にして、今一度、なずなは地面に魔力を送った。
