
副業は魔法少女ッ!
第4章 想いの迷い子
秘匿を続けたゆいかの小心が、かつて明珠を傷付けて、巻き込んだ。同じ過ちは繰り返さない。彼女の愛を辞退出来ないなら、応えていこう。そう決めたのに、今またゆいかは愛する人の目を盗んで、狡く不確かな道を彷徨っている。なずなに何を求めているかも、自分で自分が分からない。少なくともゆいかは、明珠にとって有益なパートナーではない。なずなの理想的な友人とも違う。唇や身体を重ねることまでゆいかに許した頃のなずなは、本意だったかはともかく、今ほど口数も少なくなかった。笑顔もあった。
「…………」
人混みが途切れて少し先で、電池切れのモーターよろしく速度を落としていたなずなの足が、止まった。
不条理に打ちひしがれた様子の彼女の顔には、悲しみや怒りや震え、そしてすぐるの中にも見出していた深い孤独が現れていた。
「すぐるくん、何でゆいかさんと会ってるの?」
明瞭な感情を伴わない声音が疑問を連れてくるや、ゆいかは驚いた。
すぐるとの不義を企てたことを隠していたにも関わらず、なずなが知っていたのに対してではない。正面からの疑問を受けて、驚かなかった自分自身に驚いたのだ。
