
副業は魔法少女ッ!
第5章 きららかな表皮にくるまれた残酷
* * * * * * * *
ゆづるが身を投げた海の浜辺に上がった石を拾ってくるよう、椿紗から指示を受けたなつるは、彼女が彼に支給していた魔力を回収するためだと解釈していた。ルシナメローゼにまつわるものは、現実世界に放置すべきものではない。使い手を失くした魔力がどうなるかの前例はないにしても、魔法少女らが退職する際、それを使い残していた場合、返却する規則があった。
なずなは淡い青のリング、ゆいかはウサギのマスコット、なつるはガラスペンというように、魔法少女らは、日頃から持ち歩いている何かしらのアイテムに、普段は魔力を預けている。ゆづるはネックレスのはずだった。ひよりも似たネックレスを愛用していた。そのネックレスを飾っていたのは、なつる曰く、無色透明の勾玉の形をしていたらしい。
だが彼女が海から拾ってきたのは、淡い紫を帯びた楕円形の石。
「なつるさんと東雲さんが、間違って別の石を拾っちゃったってことはないですか?」
「問題は、私が回収させられた石が、ここにないこと。東雲さんの庭が、夢に出てきたのと同じだったこと。東雲さん、何故、私が見つけたのは勾玉の形じゃなかったんですか」
「変形だと考えられる。たまにあるから」
「じゃあ、私が夢で見た光ってる花壇。夢では、そこで貴女は肥料を与えるみたいに、ゆづるくんの魔力をそこに放った。彼の情念の結晶──…スピリチュアルジュエリーだと言って」
「「…──?!!」」
