
副業は魔法少女ッ!
第5章 きららかな表皮にくるまれた残酷
馴染みの顔触れが事務所に揃ったあと、なつるの始めた話はこうだ。
彼女は今朝、予知と思しき夢を見た。
そこでは、椿紗が自宅で脚の透けた少女と話していたという。花壇にふんわりと浮かぶように存在していた少女は、まるで花の精だった。彼女が姿を現すためには条件があって、おそらく、それが椿紗の回収した楕円形の石にこもっていた生気を花壇に放つことだった。二人は非常に親密だと窺えた。
その少女こそ、椿紗に魔力の扱い方を教えた魔術師だ。かつてのルシナメローゼの住人でもある。
なつるの推測が正しければ、椿紗はルシナメローゼの怨嗟を封じるばかりか、彼らの故郷を蘇らせるために、魔法少女を生み出してきたことになる。実際、少女はゆづるの遺した石の力で、束の間、存在感を強めた。夢の中で、少女は椿紗に、「私達の国を蘇らすにはもっとたくさんのスピリットジュエリーが必要だ」とも口にしていた。
固有魔法は万能ではない、と、いつかなつるは彼女の力を謙遜していた。だが、ゆいかとなずな、明珠もまだ彼女の話を飲み込めきれないという顔で目を見合わせている中で、一つの正解に至ったと言わんばかりの様子の彼女は、絶対的な確信を持って、椿紗に鋭い目を向けている。
