
副業は魔法少女ッ!
第5章 きららかな表皮にくるまれた残酷
「明珠に似合いそう」
「またまたぁ」
「ありえないほど美しい同士」
「……ゆいか、可愛い……」
ゆいかと明珠の手と手が距離を失くした時、試着室からなずなが出てきた。
まずは彼女の定番であるピンクのコーディネートを完成させた背中には、あまりにも馴染んだウサギの耳が垂れていた。店員となつるの賞賛を浴びて、普段の自信のなさそうな気色とは無縁のはしゃいだ笑みを顔面いっぱいに張りつけて、次はヒヨコのパーカーに合わせたジャンパースカートをかかえた彼女は、今一度カーテンを閉めた。
なずなが会計を済ませると、ゆいかも店員に預けておいた数着を購入した。
例のワンピースがショッパーに入るところを見たなずなが、隣で羨ましがる。まだ在庫があると言う店員に、彼女は首を横に振った。そこまで派手な洋服を着れば、同居人に怒られるから。それを聞いたなつるが、だったら私と暮らせばいいにと返す。
小路に曲がったところに店舗を構えたEmily Temple Cuteにも立ち寄ったあと、総合ショッピングモールに入った。
ウサギと犬がラインナップの多くを占めるファンシーなキャラクターショップや、世界各地に巨大娯楽施設を構えるアメリカ系キャラクターショップ、コスメやハーブの専門店に、Ank RougeやSecret Honeyなどのレディースアパレル。JILL by JILLSTUARTの店舗を通りかかった時、通路側にいた店員が、ゆいか達に声をかけてきた。
