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副業は魔法少女ッ!

第5章 きららかな表皮にくるまれた残酷



「一色さん、葉桐さん、こんにちはー」

「あっ、藤川さん」

「こんにちは」

「お買い物ですか?おおっ、イメチェンですか?」


 藤川と呼ばれた店員は、ゆいから一同を見回すと、明珠の下げていたショッパーバッグに着目した。

 明珠はここの常連だ。彼女が店に訪ねた時、よく店にいるのが藤川だ。彼女にとってはゆいかもEmily Temple Cuteの洋服が定番であろうため、おそらく、クールビューティーな客が路線を変えようとしているのだと解釈したのだ。


「似合うと思います?」

「見てみたいですぅ」

「残念。彼女のなんだ」


 おどけて小首を傾げた明珠を、一瞬、輝かんばかりの目に映した店員が、目尻を下げた。残念ですぅ、と、甘えた調子で唇を尖らせるも、すぐ両手を顎近くに組んだ。


「でも素敵です。荷物持つよ、なんて恋人に言われるの、憧れます」

「実際は気を遣いますよ。……ほら明珠、あたしが持たせてるみたい」

「いいってば、こんなに多くなったのは私のせいでしょ。あのドレス、勧めたんだし」

「ドレスですか?!葉桐さん、今度見せて下さいね!あ、お友達さんも可愛いっ」


 突として視線を受けたなずなが、恥ずかしげに頭を下げた。彼女に続いて、なつるも藤川と言葉を交わす。

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