
副業は魔法少女ッ!
第5章 きららかな表皮にくるまれた残酷
なずなに好意を打ち明けて、一週間以上経つ。何も変わらなかった。今もただ気楽な時間を過ごしている。それはゆいかに限らない。休日に羽を休めるという目的を共有する一同は、身近な人間が一人いなくなったこともなかったも同然の空気感で、ランチをして、また屋外へ戻った。
「あ、……すぐるくん、いるかな」
一軒の量販店を通りかかった時、なずなが店内に目を凝らした。
ここには、ゆいかにも心当たりがある。
「今日、出勤?」
「うん。六時までだから、私はそれまでに帰らないと」
親元を離れて暮らす大学生にしては珍しく、すぐるは仕送りを受けていない。なずなの実家から援助は出ているようだが、頼りきるのは彼の自尊心に関わるのだろう。アルバイト中はなずなの監視もそこそこに、すぐるは仕事に集中している。ただし、なずながLINEの返信に遅れたり、夕飯の準備を含めて家事が疎かになっていたりすれば、例の癇癪が起きる。
「朝帰りにしようよ、なずなちゃん」
「怒られますってぇ」
「私が送っていくよ。なずなちゃんに怒るようなガキなんてやめて、私のとこに来ればいいって、いつも言ってるじゃない」
