
副業は魔法少女ッ!
第5章 きららかな表皮にくるまれた残酷
「ない、……。私は、自分の固有魔法も分かってなくて」
「だよね。ゆいかちゃんは治癒。なずなちゃんは防御。私は予知……。一色さんも治癒に近そうだもんね。さっきのは、違うか……それに……」
危機的状況でもなかった。
「菫子さんという人を、瓜生さんは知ってるの?」
知っている。なつるが別行動をとったのも、まずはなずな以外の相手に話を聞かせたかったからだ。
…──菫子ちゃんの命日、帰るでしょ?
山川はなずなにこう言った。言うつもりだった。何かしらの力の干渉さえ受けなければ、菫子という少女の法要が近く、なずなは列席を決めるべきだった。
「菫子ちゃんは、魔法少女だった」
「え……」
「八神すぐるをあんな人間にした張本人でもある」
薄化粧に映える明珠の清冽な双眸が、見開いた。人間、驚けば声を上げると言うが、上限を超せば言葉も出なくなるのが分かった。
