
副業は魔法少女ッ!
第6章 幸福の血肉
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友穂と美波が、よそよそしい。
なずなが違和感を見過ごせなくなったのは、昼休みの読書サークルの会合だ。
今日に限って、学部の違う彼女達にLINEを送る用があったり、廊下ですれ違ったりした。なずなの送ったメッセージに既読だけ付けた二人は、目が合うまでしても、他人行儀に挨拶を返してきただけだ。午前の長い講義を終えて、なずなが部室へ行くと、わざとらしく本棚と本棚の隙間に先着していた彼女らは、いつもの昼食仲間を見るや、困った顔を装った。
あとで◯◯先輩が来るみたいだから。そこの椅子、さっき汚れていて。…………
いかにも苦し紛れな理屈を信じた振りをして、なずなは一人でパンを平らげた。その頃合いを見計らったようにして、やはりいつもとは違う様子で、友穂が近付いてきた。大事な話がある、誤解なら本当に申し訳ない、と、前置きして彼女が始めた話は、ルシナメローゼに関わっていた。
かくて今、なずなは友穂と校舎裏に場所を移している。話の内容が内容なだけに、人前で切り出すのが躊躇われる、と言った彼女がなずなを連れてきたのだ。
