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副業は魔法少女ッ!

第6章 幸福の血肉



「幻を見たり、デジャヴを覚えたりするようになった。何かのアニメに影響されたかなと思って、気にしないようにしていたけど……。昨日のことみたいに思い出す」

「友穂ちゃんは、ルシナメローゼでどんな人生を過ごしたの?」


 他人の気持ちを経験することは出来ない。なずなに友穂の嘆きは共感出来なくても、このまま溝が深まるのは回避したい。

 そうしたなずなの内心を見透かしたような暗い目が、友穂をとりまく温度まで下げた。


「魔法少女を辞めてくれたら、話す」

「え、……」

「同じような子の何人かと、話したんだ。美波も同じ意見」

「…………」


 なずなのアルバイトは、学内のルシナメローゼ出身の学生達に、どういう経緯か知れていた。かつての住人と魔法少女は相容れない関係で、それは友穂の身近なネットワークに限らず、インターネットで繋がりを持てた他の仲間達とも話して出た結論だという。さっきゆいかにLINEで知らされた通りだ。

 魔法少女のまま、友人を続けたがるのは狡い。

 友穂が今度ははっきりそう告げた時、校舎から出てくる美波が見えた。

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