
副業は魔法少女ッ!
第6章 幸福の血肉
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やっと春休みが始まった。
三回生のなずな達が新入生歓迎会に参加するかは、選択出来る。読書サークルという、昼休みの昼食仲間に出逢えるだけのような団体でも、新入部員を勧誘するための枠が与えられて、毎年そのステージに立つための準備の登校は、長期休暇の楽しみの一つだった。
今年は参加を辞退した。すぐるに懇願されたからだ。命令口調に聞こえなかったのは、なずなが友人達に受けた仕打ちに胸を痛めてくれた彼の気持ちが本物だからだ。
実際、すぐるはなずながなつると出かけることは許した。不自然に抜けた記憶や、見ず知らずの少女が彼の近くにいた形跡。彼なりに、それらを説明出来ない引け目もあるのだろう。
「不謹慎だけど、ルシナメローゼの人達に感謝していることもあります。すぐるくんの本心を知れました。私は、あの人に愛されてるか、疑ってたこともあるんです。でも友穂ちゃん達に水をかけられて帰った日、すぐるくんはお風呂を沸かしてくれて、お洋服を洗濯しながら怒ってくれた。学校に殴り込みに行くって言いながら……」
「自分の暴力は棚に上げて、他人には正義ぶるやつなんだ?」
「そう見えるかも知れません。でも私が知らない先輩に殴られた時は、すぐるくん、土下座してくれました。こんな酷いことしてたのかって」
