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副業は魔法少女ッ!

第6章 幸福の血肉



「え、待って……何でですか?なずなちゃんは大丈夫ですか?」


 なつるの説明によれば、なずなの指輪を盗った人物は特定出来ているという。
 昼間、彼女らはランチを共にしていた。デザートまで食べて店を出たところで、二人して睡魔に襲われて、目が覚めると指輪がなくなっていた。数時間眠っていた間、誰も二人を通報しなかった。なつるが固有魔法で状況を読み解くと、睡眠薬で彼女達を眠らせた人物が、共犯者と協力して、店内のバックルームに保護していたと考えられるらしい。指輪が奪われたのもその時だ。


『私のガラスペンは、無事だった。警察は、証拠がなければ動けないって……。それで、この店、怨嗟の気配も感じるの。もしかしたら、動き出すかも』

「…………」


 電話を切ると、明珠が気もそぞろな顔つきをゆいかに向けていた。

 時刻は十時になろうとしている。こんな時間にゆいかが電話口に必死で何か受け答えしていたのだから、無理もない。

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