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副業は魔法少女ッ!

第6章 幸福の血肉


 なずなとは似たもの同士だった。そのため、余計に親近感も覚えた。外で他人に少し褒められても、それを素直に受け取れないほど、彼女もすぐるも幼少期の呪いに囚われていた。

 唯一の安らぎであるなずなを、決して手放してはいけない。彼女に見限られてしまえば、今生、自分はもう誰からの愛も得られない。

 すぐるはなずなが自分を離れることを怖れた。

 両親の関心を引きたいがために、死に物狂いで勉学に励んだ学生時分から一変して、いよいよ彼女と二人になるや、すぐるは彼女を繋ぎとめるための努力をより惜しまなくなった。

 恐怖による支配。心理操作による掣肘。


 だのに彼女にある時期の話をしようとすると、何か大きな力が妨げてくる。そのために最近、彼女の誤解を招きかけた。

 同じ屋根の下にいたところで、心が離れてしまっては、なずなも両親も変わらなくなる。だからこそどこで知り合ったかも不明瞭な女との外出も許可したのに、予定の時間になっても帰宅しない彼女の代わりにチャイムを鳴らして訪ねてきたのは、教員を自称している彼女の恩師だ。


 なずながもうしばらく帰れなくなった。


 一色明珠が告げてきた時、すぐるの中で、何かが切れた。

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