
副業は魔法少女ッ!
第6章 幸福の血肉
「……っ」
「あ、ゆいかちゃん……!」
なつるの声が、ゆいかを追った。
椿紗は魔法少女を欺いている、魔術師だ。
切迫した彼女が警告しても、ゆいかは自分の腕を掴んだ手を振りほどく。
「やっ!離して下さいってば!」
「一色さんがもうすぐ来る、せめて三人で──…」
「なずなちゃん、石に入れられたんですよ?!あれ以上のことされたらどうするんです?!」
「私が絶対、追跡するから。ゆいかちゃんだけは、ダメ」
「……それはあたしが足を引っ張るってこと?」
神妙な顔のなつるには、この先の未来が見えているのかも知れない。
しかしゆいかには何も見えない。
なずなにも、解せないところがあった。もしかすれば彼女も椿紗達の世界の住人だったのかも知れない。
寿命という対価を得ても、周囲の誰にも影響が及ばなかった。支給された魔力は借り物なのに、彼女のそれは、並外れて彼女に従順だった。魔力なしの状態で、姿の違う魔法少女に変身出来た。…………
それらの謎を、ゆいかは彼女自身から解きたい。なつるの透視に頼るのではなく、彼女に会って、話したい。
