
副業は魔法少女ッ!
第6章 幸福の血肉
なずな達が中学に入った年、菫子は受験を控えていた。他の生徒達に比べて勉強している姿が稀少だった彼女は、推薦入試を狙っていた。従って、なずな達の勉強を見てくれていた印象の方が強い。
二つしか年の離れていない少女と少女は、親友並みに打ち解けていた。友人の少なかったなずなは、喜びも悩みも彼女に真っ先に話していたし、すぐるには声をかけないで、二人きりで出かけることも増えた。
幼少期こそ、二年の差は大きかった。しかし彼女が高校一年生、なずなが中学二年生になると、いよいよ彼女のなずなへの友情も濃さを深めていたのではないか。
幸福な数年間だった。
なずなは菫子と仲良くしながら、すぐるとも特別な関係になっていった。
菫子のアルバイトを知っていたのは、なずなだけだ。彼女を溺愛していた両親、それにすぐるも、彼女が小遣い稼ぎに始めた校外活動は、テレフォンオペレーターだと信じきっていた。実際、業務として電話番やメール対応を任されることはあったらしい。
…──なずなちゃんにだけ話すね。私、魔法少女なんだ。
菫子の突拍子もない告白は、なずなの固定概念を覆した。
