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副業は魔法少女ッ!

第6章 幸福の血肉



 彼女は執着の固有魔法を備えていた。その力をなずなに作用させて、魔法少女の業務の現場を、よく見せてくれていた。


 青い衣装の魔法少女。

 変身した彼女の姿は、まるで光に守護されていた。幼少期にテレビで見ていたのとは比にならない、輝くようなロリィタ風の装束で戦う彼女は、なずなをたちまち魅了した。

 菫子の敵は、成仏出来ない死者の怨念だった。彼女がそれらを石に還せば、負の感情に蹂躙された一般市民が正気に戻った。彼らは彼女に感謝した。その場に付着していた呪いも浄化された。数多のアニメと違うのは、彼女の魔法少女としての活動に、金銭的な対価が出ていたところだ。それでも、魔力の効果で年頃の少女らに比べて運動能力の発達した彼女が、息をのむような立ち振る舞いで技を繰り出し、攻撃をかわし、邪悪な敵に立ち向かう姿は、正義の味方そのものだった。



 魔法少女になりたい。高校に進学したら、自分も彼女のように──。




 なずなの憧れは希望になった。


 ずっと憧れていた魔法少女は、八神薫子という実存の人物だったのだ。

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