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副業は魔法少女ッ!

第7章 私だけが独りだった


 彼に全てを明かすことは不可能だ。

 魔法少女の事務所に入って、なずなを含めて明珠達、皆、そこでアルバイトをしている。二人の失踪は、おそらくそこの責任者に関係しており、彼女──…東雲椿紗は、現実世界にとって負の象徴である架空の島国ルシナメローゼの元住人である。

 平均的な人間の常識でも理解が及ばないだろう事柄を、今のすぐるに飲み込ませるのは困難だ。

 おそらく同じ思いでいただろうなつると、明珠が目で会話していると、すぐるの口から驚くべき言葉が出た。


「なずなも、あの変身して慈善行為をするアルバイトをしているのか?!」


 理解が追いつかなくなったのは、明珠となつるだ。


 すぐるが魔法少女を知っていた。

 ルシナメローゼの元住民らの怨嗟が危険なものであること。息絶えた魔法少女の魔力は、スピリチュアルジュエリーになること。椿紗はそれを回収したがっていること。

 しかも彼は、椿紗に会ったことまである口振りで、明珠達を質問攻めにするのでもなく、彼の知識でなずな達の状況を憶測した。

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