
副業は魔法少女ッ!
第7章 私だけが独りだった
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椿紗がゆいかに仕掛けた責め苦は、淫らな行為による苛みだ。彼女がいたのは初めだけで、彼女に倣って栗林が、そして橋田……と、彼女を支持している面々が、まるでやっと不満や怒りの対象にありつけたと言わんばかりに、代わるがわるゆいかをなぶった。
椿紗は現場を離れていた。
新参者を伴ってくる時か、或いは標的の肉体に生命の維持が危うくなった時だけ、戻ってくる。後者の際は、ゆいかに微量の魔力を貸し与える。
「治療しなさい」
「…………」
「生きていさえすれば何とでもなる、貴女の信じてきたことでしょう?」
椿紗が手をかざした場所から、力が漲る。
生気にも感じられるそれこそが魔力で、一定量を蓄えれば、魔法少女の力を使えるだろう。しかし当然、椿紗は、真新しい傷を刻まれるために肉体というキャンパスを白紙に戻す他を許さない。彼女らの目的が人間への復讐、それ以上にゆいかから負の感情を搾り取るところにある以上、手を下そうとまでしてこない。ただし指輪の青い石からなずなの魂を除去出来ることを匂わせた彼女は、ゆいかの出方次第では、有言実行に移すだろう。
下腹部の奥が顫えている。恐怖からだ。憎悪だけが動機の性的行為で、生理的感覚は生じない。
「っ……はぁっ、……」
今一度、笑った膝を力ませて、椿紗の右手に覆い被さる。
