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副業は魔法少女ッ!

第7章 私だけが独りだった



「やっぱり……。待って、今、見てみる」


 数秒、なつるが意識を研ぎ澄ましたのが分かった。沈黙のあと、開いた彼女の目が明珠に向かう。


「一色さん、足、だるくない?」


「言われてみると、痺れてる。大したことじゃないわ」

「そっか、良かった。ここの怨嗟、人間にマイナスエネルギーを送り込んで、ポジティブな生気を食べている」

「え……」

「一色さんの力は、光。こいつらの好物よ。より強く、より現実に馴染める形態に近づくための養分。八神すぐる達は、おそらく、ずっと餌にされてきた。この怨嗟が彼らを殺さなかったのも、七年とどまっていたのも、あの一家が格好の獲物だったからでしょう」

「…………」


 なつるの話は、合点がいく。

 すぐるは不安定だった。彼自身も、家庭内では孤立していた。彼の身体にはなずな以上の痣がある。それは昨夜、彼に聞かされたことだ。

 しかし、まだ引っかかる。

 明珠は、怨嗟がこの場所に魅了され、縛られてきたように思う。

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