
副業は魔法少女ッ!
第7章 私だけが独りだった
菫子は、なずなの憧れだった。
彼女のようになりたいと望みながら、彼女の最愛でありたいと願い、すぐるにも嫉妬していた。彼女の側にいたいがために、彼女の愛する弟にまで親しく接して、聞き分けの良い少女であろうと努めていた。彼女の魔力で変身した時、なずなは、夢が叶った。
菫子と一つになりたかった。強く優しく、誰にでも愛される魔法少女に、ようやく自分もなれた気がした。
幻想だった。
菫子の形見を守れなかった。なずなは椿紗に、ルシナメローゼに捕らわれて、この石の外の惨状は手に取るように分かるのに、目覚められも抜け出せもしない。
「ゆいかさん……」
なずなは今、ルシナメローゼの養分になろうとしている。菫子の魂の証と共に。
そして、近くにゆいかの気配もある。彼女の魔力が、なずなを求めてくれている。
「何で……ここ、ルシナメローゼだよ……」
お前には何も出来ない。無能で、誰にも愛される価値がない。
両親やすぐるに言い聞かせられていた。それは、なずな自身も自覚があった。だからこそすぐるの庇護を受けていた。
だのに一年前、ゆいかに出逢った。
