
副業は魔法少女ッ!
第7章 私だけが独りだった
あハハハハハ…………
沈黙していた女から、突然、発作じみた笑いが起きた。
「じきに魔法少女は家畜になるよ!あんたみたいに!!私達の苦しみを知って、どうしたって消費されるしかないんだわ、見苦しいよ!とっとと呪えよ!」
ハハハハハハハハハハ──…
「出来ない、よ……」
身体中に散る打撲痕に魔力を注ぐ内に、ゆいかから、彼女に受けた痛みの事実も薄れていく。
「知ったかぶりで、貴女達と同じ感情は持てない。貴女達の苦しみは、他人が簡単に理解出来るほど、軽くないから。でも助けたい、一緒に生きたい。呪いに頼るんじゃなくて、……」
「黙れ!」
女が暴虐に使っていた棒が、癒やされたばかりの肌に、椿が開花したような腫れを広げた。椿紗が彼女の腕を制す。
ゆいかを庇ったようにも見えた彼女が、今やそうする義理もないだろうかつての従業員に視線を戻した。
「命に執着の強い貴女は、殺せばその絶望は計り知れないかも知れない」
「東雲さんは、ルシナメローゼの人じゃない。人間の貴女に人を殺せる?」
「そうね。そんな勇気はない。だったらまずこの指輪をどうにかして、貴女がどう出るか見て見ようかしら」
「…………」
