
副業は魔法少女ッ!
第7章 私だけが独りだった
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仮初めに復活したルシナメローゼへの道は、元住民にしか開けない。
魔法少女や警察が死力を尽くしても、ゆいか達の捜索は、ほぼ百パーセント不可能だ。
そうした旨を、明珠は田中に聞かされた。
田中は、ゆいかの欠勤の真相を見破っていた。彼女の話によると、椿紗は心当たりのある人間に声をかけて、同郷の仲間を呼び集めているらしい。田中も接触された一人だ。魔法少女が一人いる、拷問に手を貸す気はないか。田中は、それがゆいかを指すのだろうと憶測した。
「私はルシナメローゼへ行きません。東雲さんに借りた力は、社長にお譲りします」
「魔法少女を恨まないの?」
「逆恨みじゃないですか。葉桐さんに、私は上司としてあるまじき態度をとりました。申し訳ありません。今の人生の方がずっと大事です。これは、魔法少女の魔力とは別物です。一度使えば、無効になります」
田中が合図ともとれる動きをすると、明珠の中に、違和感を覚える何かが落ちた。今しがた移ってきた魔力を消費するための要領も、自然と得た。
「有り難う」
「本当は私が葉桐さんを迎えに行くべきです。ルシナメローゼの関係者として、特に魔法少女の方々には、多大なご迷惑をおかけしていますから。何より、葉桐さんとまた楽しく話したいです。許してもらえれば……。ただ、私が行っても足を引っ張るだけですから」
田中が業務に戻ると、明珠は、秘書に仕事を引き継いだ。
結局、昼休みしかとどまれなかった明珠に、彼女は労いの顔を見せた。お忙しいのに、顔を出して下さって有り難うございました。
秘書に心からの感謝を述べて、会社を出ると、明珠はなつるに連絡した。予定していたよりかなり早く、彼女を呼んで、それからすぐると合流した。
