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副業は魔法少女ッ!

第7章 私だけが独りだった



「いつから知ってた?」

「今。……菫子ちゃんに会ってきた」

「思い出したんだな」

「ごめん。本当にごめんね、すぐるくんの大事な思い出、なかったことにしちゃってて。他に親しい女の子がいるんじゃないか、なんて疑って」

「…………」


「五月蝿い五月蝿い!あの子は私に嘘はつかない!菫子はいない!天方さんの思い違いだわ、勝手に見た夢を、都合良く現実と思い込むな!!」


 
 再三、攻撃の構えをとった椿紗を、今度はなつるのチェーンが制した。

 ルシナメローゼの女の方は、現場のなりゆきをただ見ている。ここに呼ばれた元住民達に、人智を超えた力はない。ゆいかも、彼女らに受けたのは物理による暴力だった。



 椿紗の戦意がやわらぐと、一同は束の間の余暇を得た。


「明珠……」


 聞けば、ゆいか達がここに来てから、二日も経っていないらしい。それでも永遠に等しい間、彼女を失くしていた気がする。彼女の方も、まるでゆいかが幻にでもなったような顔を見せて、二人きりでいる時と同じ抱擁をした。耳に触れてくる言葉の数々から、昨晩から今までの間、ゆいかがどれだけ彼女を自責させたか分かる。

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