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副業は魔法少女ッ!

第7章 私だけが独りだった



「私が勝手になずなちゃんを追いかけただけ、だから。有り難う、明珠。見捨てないでいてくれて」

「ゆいかを見捨てなくちゃならなくなったら、私は恨みの塊になる。世界の全てを憎むでしょうね」

「…………」


 明珠の気持ちは、いつも重い。それだけの想いをいだかせるものが、ゆいかのどこにあるのだろう。

 ゆいかは、なずなを救いたくて彼女を残して、背きまでしたのに。


 愛と憎しみは同質かも知れない。当たり前の幸福は、当たり前ではない。誰かを愛すればこそ、その妨げになるものは愛せない。ゆいかが生きていて、明珠も生きている。二人揃って胸を張って生きていると言えるのは、奇跡に奇跡が重なったからだ。




 ゆいかと明珠、なつるは、なずな達からルシナメローゼの実態を知らされた。

 すぐるがまるくなったのは、ゆいかの気のせいではなかった。その経緯は明珠達から聞かされた。その際、なずなはまた泣き出した。憧れの魔法少女との別れを追体験してきた彼女は、かつて慕った少女の弟に平穏が戻ったことを我が身同様に喜んだ。
 ただし、なずなも実家での良い思い出がない。両親との穏やかな幼少期を思い出したすぐると違って、自分だけが独りだったと呟いた。そんな彼女に、彼は、これが最後と前置きして一喝した。独りじゃない、お前の味方はここにいる。

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