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副業は魔法少女ッ!

第7章 私だけが独りだった


 なずな達の思い出の少女の霊が告げていった真相は、椿紗を狼狽させた。
 彼女は親友の欺瞞に踊らされていた。ゆいか達が対価に得ていた寿命も、愛に備わる性質を利用した罠だったという。自分を愛する、つまり自分を必要とする相手の感情から生気を濾過して、自身の内に移動させる。彼女は、そのための魔術を魔法少女達に施していた。結果、魔法少女達の身近な、それも大切な人間の死期を早めた。ゆづるのような魔法少女を死に促すため、そして、人間という存在から、負の感情を搾り取るために。


「それだけではありません。お金と寿命欲しさに魔法少女になるような人を、彼女は特に苦しめて消していくつもりだったんですね」

「人間にとって永遠の課題とも言える望みは、富、不老、そして不死。なるほど、あの子が憎みそうな欲望ね」

「怨嗟の石を封じてきたのは、業務内容を明確にすれば、魔法少女を集めやすかったから。それで私達は、ルシナメローゼという事務所が現実世界の味方だと、錯覚してきました」

「半分は、正解。認めるわ。でも私は本当に、ルシナメローゼをあの頃の姿に戻したくて──…」

「いい加減にしろよ!姉ちゃんを返せよ!お前らの生き死になんかどうでもいいよ!お前ら二人が身勝手すんな、俺達にも大事なものがあるんだ!」


 なずなが肩を震わせた。一方で、そのすぐるの一喝に、椿紗の主張は動かせなかった。

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