テキストサイズ

副業は魔法少女ッ!

第8章 正義の味方のいないご時世


「ちょっと」

「え、……」


 さっきから不機嫌を露わにしていたすぐるが、顔を上げて、目を見開いた。


「なっ、なつるさん?!」


 朱色のワンピースの裾を揺らして、なずな達の個室に入ってきたなつるは、両家の両親をねめつけた。彼女の手が、なずなの腕を持ち上げる。


「なずなちゃん、来て」

「どなたなの?!お知り合い?!」

「会食中ですよ!いくら知り合いでも……」


 なずなの父親も母親も、突然の乱入者に目角を立てている。

 彼らに、なつるは顔色一つ変えないで、なずなの腰を上げさせた。


「なずなちゃん……」

「なつるさん、何で、ここに……」


 ここでの食事会は、なずなとすぐるしか知らない。

 戸惑うなずなに構いもしないで、なつるが両親達に顔を向けた。彼女の視線が、最終的に、なずなの親達に向けて止まった。


「初めまして、瓜生なつるです。貴方達の毒親ぶり、しっかりと聞かせていただきました。実の娘にモラハラ、セクハラ。やばいですね。お陰様で、罪悪感なくなずなちゃんを奪えます」

「ふざけてるの?!なずな、こんな無礼なお友達、やめておきなさ──…」

「なずなちゃん」

「っ……」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ