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副業は魔法少女ッ!

第8章 正義の味方のいないご時世


「私は……」


 抑え込んできたものが、堰を切ったように溢れ出す。

 この気持ちは、彼女にしか聞かせられない。ゆいかや明珠、そしてなつる。ずっとなずなを見守ってきてくれた魔法少女だった仲間達にだから、安心してさらけ出せる。わがままという弱さを、見せられる。


「ずっと嫌だった。何も出来ない子だって言われて、上手くいかなくて笑われたり怒られたりするくらいなら、初めから何もしない方がマシだった。期待してもらえないのに、頑張る必要ないって、怠けて好き勝手してる自分がもっと嫌だった。ぼんやりしてるし、動きも遅いし、朝だってちゃんと起きられなくて、忘れっぽいけど、でも変わりたい。頑張りたいのに、すぐるくんは自分がいるからそのままでいいって言ってくれるし、お母さん達は無理だって言うし、じゃあ私はどうすればいいんですか?」


 言葉がとめどなく溢れ出す。抑えられない。

 こんななずなを知れば、なつるも幻滅するかも知れない。彼女が予知の内容をぼかしたのは、そのためだろうか。

 なずなは、半ば自棄になっていた。話せば、何も変わらなくても気持ちは楽になる。

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