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副業は魔法少女ッ!

第1章 アルバイトで魔法少女になれるご時世



 たゆたうなずなは、正しい。
 通常なら、ゆいかも明珠の知らないところで、他の女の唾液を舐めるようなリスクは避ける。

 だが、なずなの視野を広げるためだ。彼女はすぐる以外の人間を知らない。それでなくてもこの先もし、どこかの第三者が特別な好意を寄せてきた時、真新しい翼か牢獄、ゆいかには彼女がどちらを選ぶか目に浮かぶ。


「なずなちゃん、友達とお茶とか分けたことないの?」

「そういう必要に迫られたことが……」 


 なずなの目が見開いた。

 白い果実の剥き出しになった苺を咥えて、ゆいかがテーブルに乗り出したからだ。


「んっ……む?!ふ……」


 メニュー表で周囲の視線を遮って、ゆいかはなずなに嚙りかけの苺を押しつけた。

 柔らかな唇に覗いていた丸い前歯が、ゆいかの舌に僅かに触れた。あとで明珠に謝っておこう。頭の遠くに思いながら、ゆいかはなずなの口内に甘酸っぱいものを含ませた。


くちゅ、くちゅ…………ごくん。



「っ、はぁ。……ンッ……」

「どきどきした?」


「何、で……」


 なずなの指を撫でていたそれを、ゆいかは彼女の襟元よりやや下、布の重なりの最も薄い部分に移した。心臓とは遠い一点は、彼女の胸が僅かに上下しているのを伝えてきた。

 突然、きりきりとした痺れが、ゆいかのうなじを迫り上げていった。脳天を抉られたようなショックを覚えて、ゆいかは思わず顔を歪める。

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