
副業は魔法少女ッ!
第2章 魔法少女の力
ただし、破損は物理的に残る。
ゆいかは、今しがたの一戦で崩壊した住宅街に、植物を通して魔力の波紋を広げていく。
なずなの魔法が防御に特化してるのと同様、ゆいかは回復に長けていた。魔力を受けた物体が、次々と亀裂を閉じて、再生していく。
後処理がこれだけの魔力と時間で済むのは、なずなの働きあってのものだ。彼女の防御は、物体にも有効だ。ゆいかが怨嗟を鎮めるまでの間、彼女があらゆるものを扞禦しているため、損傷が最小限にとどまるのである。
「お待たせ。石、届けに行こう」
「有り難うございます」
怨嗟を吸った石を拾って、ゆいかはなずなと駅に向かった。
電車を一駅移動すると、二人、先月からしげしげ通うようになった小さなビルに入っていった。
「お疲れ様です」
「お疲れ様でーす」
「お帰り、こんな時間まで有り難う」
一見、何の変哲もないオフィスにいたのは、事務仕事をしていた東雲椿紗となつる、それから佐伯ゆづるという青年だ。
魔法少女という職業は、少女である年齢であるかは重要視されない一方で、性別は魔力に影響するらしい。従って、このゆづるも帰り支度をしている今でこそ普段の格好をしているが、業務中は化粧をしてそれらしく装えるウィッグを被っているのを、ゆいかも何度か見たことがある。
