エッチな女子高生は年上がお好き
第1章 恋愛は難しい
「ねえねえ、ハル!グラウンド!もりりん走ってるよ!!」
私の唯一の親友、チカがグラッと机を揺らすくらいの勢いで、私の元に駆け寄ってきた。
「もりりん」は私の推しの国語科の教員で、本名は森本春彦。たしか、32歳くらいで、分厚いメガネに、いつも分厚い本を携えて、猫っ毛のボサボサ頭で廊下をひっつき歩いている。
「今日も輝いてるな〜、あたしの推しは。どうやったら結婚してくれんだろ」
「は、無理っしょそれは。てかオッサンじゃん!マジでハル、ウケるよ。なにがいいか、ぜんっぜんチカにはわかんないし」
チカはキラキラ女子高生で、一つ下のサッカー部のイケメンと付き合っている、本物のJKだ。
「ハルはオジサンの何が好きなの?」
チカは私の目の前の机に座って、ピンク色のリップを入念に塗りながら、さして興味もなさそうにきく。
「だからね、おじさんだから好きなんじゃないよ。春彦だから好きなの。っていってもねー、現実味ないからねえ」
学校の先生と恋愛をする、なんて妄想は何百回とした。でも妄想は妄想で、できることとできないことがある、ということを頭でわかっているから、本気ではない。
と、思う。