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ほしとたいようの診察室

第2章 遠い記憶と健康診断



ふっと我に帰って、胸の中心がくすぐったくなるような、頬が赤くなるような感覚になって、首を振った。



「お母さん、お父さん、ちょっと休憩しようよ」



淹れた紅茶を、リビングへ持っていく。
父が嬉しそうに顔をほころばせると、大袈裟に褒める。

「うん、プロの淹れたお茶はおいしいなぁ」

昔からそうだった。父は大したことのないものも、必ず褒めてくれる。

3人で小さなローテーブルを囲んで、短い休憩をとった。


わたしは胸に引っかかるものを飲み下すように、プリンを口に含む。病室で食べた味を思い出してしまって、余計に胸がぎゅっと詰まった。


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