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ほしとたいようの診察室

第7章 回想、主治医の苦悩



「うわーーん!!! いたいーー!」


火がついたように、泣き声が聞こえてきて、慌てて駆け寄る。


「のんちゃん、大丈夫?!」



のんちゃんは膝を擦りむいていた。
その場に座り込んで、わんわんと泣き出してしまう。


「うえーーん!!」


さっきまでのふんわりした空気は霧散し、一転して修羅場である。
しかし、傷の深さや出血の量を見た感じ、大事にはならなそうで少し安堵する。



穏やかだった中庭に、のんちゃんの泣き声が響き渡った。年配の患者さんなんかは、そんなのんちゃんの様子を遠巻きに微笑みながら見守っている。



大事には至らなそうだけど、消毒は必須。
もともと短い時間の散歩に、救急セットの持参もない。




俺がついていながら……と後悔する気持ちと、やっぱり幼児用ハーネス持ってくれば良かったか……と、吹田先生の顔が頭をよぎる。




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