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ほしとたいようの診察室

第9章 ひとときの外出



好きな人を恋人にした時。
その耐性がわたしにはない。


陽太先生には、そんな過去はあったんだろうか。ふと、そんなことを思ったがそんな邪推はすぐに掻き消される。




「はい、ほら」


優しい表情に戻った陽太先生を目の前に、照れる以外の選択肢がない。

恐る恐る、口を開ける。



パクっ。




「はい、よくできました」





おまけに、その大きな手がわたしの頭を撫でる。あまりにも大事そうに。

嬉しすぎても心が死にそうになるということを、わたしはこの日初めて知った。



「もう……むり、倒れそう……」



目が回りそうだった。いや、もう回っていた。



こんな距離感や、恋人であるという事実ができあがったこと……陽太先生が、自分を好きでいてくれていること……。

もう全てが大きな波のように襲いかかってきて、普通ではいられなかった。






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