
ほしとたいようの診察室
第10章 陽はまた昇る
肩で息をして家に入ってくるなり、のんちゃんは俺の胸に拳を突き当てた。
力は強くない。
しかし、痛かった。
痛みを感じて、俺は生きているんだと思った。
屍のようになって部屋にいた、この1週間。
枯れきった心に、水が流れた。
「……どれだけ……心配したか……っ」
怒りながら、泣きながら。
目一杯の力で拳を握り締めたのんちゃんが、感情をありのままにぶつけてくる。
拳から、痛いくらいに感情が流れ込んできた。
それは、とても鮮烈な色をしていた。
俺は、この1週間で言葉を忘れてしまったようだった。
うまく言葉を発することができず、当てられた拳をそっと右手で包むことしかできなかった。

作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える