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土竜と猫の憂鬱

第1章 普遍的なもの。

土竜と俺は目が合った。俺を見た瞬間に、土竜は明後日の方向へ向く。
なんだ、何事だと思うと

「猫さんですか・・?土竜です。」

明後日の方向を向いたまま、そう呟いた。
俺は煙草をもみ消し、

「・・・。ネカマかよ。」

本当は性別詐称してるやつなんて、無視で良かったんだけどな。

「すみません、だってネカマやってる方が男性からアイテム貰えるんです。」

「俺、アイテムなんて一個もあげてねぇけど。」

「そうなんですけど・・、チャットしてて凄い楽しかったんです。すみません、お詫びにと言ったらアレなんですけど、奢ります。」

当たり前だろと言うばかりに俺は頷いた。その瞬間土竜と眼があった。
色白の肌が赤みを帯びていた。モジャモジャの天然パーマが雨に濡れてシンナリしている。

「お前、傘持って来てないの?」

「あ、はい・・。」

「やるよ、安物のビニール傘だけど。」

そう言って俺は、土竜に傘を渡した。別に濡れて帰っても良かったから。これが俺達の出会い・・?

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