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戦場のミハイル

第4章 遊撃部隊、北に進む

マリヤは機体を急旋回させながらも斜面の陰を利用して補足されにくい場所を陣取る

さらに操縦ハンドルをめいいっぱい引き上げる


戦闘車両〈オービエン〉はまるで立ち上がるかのように後部をせり上げていく


油圧シリンダーが限界まで伸びきっていく


上部の主砲は鎌首をもたげ、せり上がる

側面の大型ガトリングキャノン2問も正面に向けていく

その他、前面のビーム砲、レーザー射出レンズ、各種ミサイルポッド……

すべての砲塔が正面を捉える!



「クライニー・スルーティー!!!」

皆が頭の上のゴーグルを下げた!



カッ!


すべてが光に包まれる!


ゴーグルが無いと眼をつぶしてしまうほどの光球


〈オービエン〉の機体からすべての兵器が一斉に放たれる!


最終必殺兵器!

〈クライニー・スルーティー〉は一撃必殺の大火力攻撃だ


「森が蒸発します! 敵影、融解!」



アレクサンドラが報告する


「警戒しつつ、山を降りる」


副長オルガは号令をかける


それでも隊長ビクトリヤは無言のままであった


森もろとも敵機を殲滅した〈オービエン〉は山をおりていき、帝国領の小さなふもとの町へ向かうのだった…



戦闘の数時間後



ミハイルは哨戒任務を終えてエレナと交代し、自室で横になっていた


タブレット端末の中に落としていた読みかけの小説を読みふける


〈オービエン〉は大型車両だが、空間魔導によって内部空間がねじ曲げられとても広かった


それはビクトリヤ艦長が〈プラストラー空間魔導師〉の特殊能力を与えられていたからだ


空間が曲げられた〈オービエン〉の内部にはクルー6人分のプライベートルームの他にも機関室、武器弾薬庫、食堂や浴室、会議室、まで広げられている


コンコン!


ミハイルの部屋に誰かがやってきた



開けてみるとビクトリヤ艦長の姿があった



「かくまってくれ、ミーシャ!」


「また、ですか〜?」


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