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戦場のミハイル

第6章 ニコライ議員の私邸



ある日の午後のお茶の時間



庭園のパビリオンでニコライ婦人と娘

そして客人のミハイルの3人がお茶を楽しんでいるとき


少し離れて目立たぬよう警護していたガリーナが呼ばれた



「呼ばれましたか、ミハイル様」



「ちょっとガリーナさんにお願いがあるんだけど」



ガリーナは怪訝な表情をわざと出す


もともとミハイルを怪しんでいるだけでなく、胡散臭さが鼻につくのだ



「そんな顔しないで、

 折り入って

 相談なんだけど……



 実は内密に



 〈外出〉したいんだが……



 協力してくれないか?」



ガリーナはキョトンとしてしまう



外出?



勝手に行けばいいじゃないかッ?


私はニコライ邸の警護であって、

客人の警護をする気は無いぞ?



勝手に女でも抱きに娼館にでもどこにでも行けばいい




「ミハイル様?


 わたしはミハイル様の行動を制限するつもりはありませんよ?」



ミハイルは頭を掻きながら

そうじゃないんだ、という素振りをする




「違うんだガリーナさん



 その



 キミたちが一生懸命ここの主人とその家族を守ってくれているのを承知で相談なんだけど



 マーニャとイーラを連れて

 外出したいんだ」




「……は?」




「まぁ


 ムリを承知で



 訊いているんだけど…」





ガリーナは顔を真っ赤にして激昂した




「貴方、わかってますかッ!?

 今の状況をっ!

 狙われてるんですよッ!?

 誰かわからない状況でッ!

 貴方、本当にわかってます???」




「怒らない、怒らない!

 だから皆が居ない今キミだけに相談してるんじゃないかッ!?


 内密に、内密にだよ


 犯人にも気づかれないようにだ


 敵を騙すには、まずは味方から

 て、言うじゃないかッ?


 秘密裡に抜け出したいから、協力してほしいんだ」



ガリーナは話しも聞かず立ち去ってしまった




「まいったなぁ…」



そこへマリア婦人が陰から出てきて寄り添う


「ミハイル様、リーニャには私から伝えますから」



ミハイルはため息をついた…


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