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僕の彼女は塀の中の白い小悪魔

第1章 朝

腕時計の時間を気にしながら、僕は遅刻間際の通学路を、自転車で無我夢中で走っていた。
 ポツポツと家はあるが、時折田んぼがあったりして、のどかな田舎道である。脇目をそらすと、ツバメの若鳥が飛んでいるのが見えた。
 早くしないと遅刻する…
 前方の歩行者用の信号機が青の点滅を始めた。ペダルの回転数も徐々に上がっていった。
 この先には僕の通う中学校と、向かい合わせの小学校があるだけだ。なので、ほとんどが同じ学校の仲間達で、同方向の小学生達もだいぶ顔馴染みのようになっていた。そこを避けながら颯爽と駆け抜けるのだ。
「危ないよー」
 言葉には出さなかったが、焦りも自転車のペダルの回転数もマックスハイテンション!!
 前方の視野が狭まり、一点だけをひたすら見つめるだけ。だから、よく見てなかった。
「ちょちょちょ!」
「あっ!」
 気づいた時にはもうブレーキは間に合わなかった。誰かにぶつかったようだったが、自分もおもいっきり吹っ飛んで、一瞬何があったのか覚えていない。

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