テキストサイズ

僕の彼女は塀の中の白い小悪魔

第9章 塀の中

 薄いカーテンの窓から風が吹いて、朝の太陽の光が漏れているのを感じた。
 しばらくして、無言のまま彼女いや看護師さんは部屋を出ていった。
 山崎がいたけど、見えてなくて良かった。ベッドに横になったまま、まだイヤホンをして音楽を聴いていた。
 もしかしたら、薄々勘づいていたかも。
 すげ〜ドキドキ、まだドキドキしてる。
 窓を全開にして、新鮮な空気を胸いっぱいに「すーっ」と息を吸い込んだ。
 小鳥の鳴き声が心地よい。新緑の季節だ。
 白壁にはツバメの巣があった。
「雛はもういないのか?」
 後ろで結んだ明るいブラウン色の髪。ポニーテールと青い色のシュシュが似合っていた。そこから見えたその耳にはハート型の小さなイヤリング。
 まだ名前を聞いてなかった。胸元の名前のバッヂが僕の顔まで近づいて見えたはずなのに。
 「よっしゃ!」
 受験勉強頑張ります。
 彼女のリップの色が薄っすらと僕のくちびるに付いたままだった…
 看護師さん、明日もまた来ます!
 心の中でそう呟きながら、僕は病室を後にした。
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ