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僕の彼女は塀の中の白い小悪魔

第8章 柔らかくて甘い香り

 僕の足がふらっとして、倒れそうになって、ついその看護師さんの足にもたれかかってしまった。
「あっ!ごめんなさい。」
 頭も呆然としていた。僕の指先が引っかかって、看護師さんの履いていたストッキングが伝線してしまった。
 このボーっとした感覚は、初めての体験だった。
 すると、その看護師さんは、かなり色っぽい目線を向けて、僕の心を全部理解しているかの様子だった。
 僕の顔の目の前に、マスク越しの顔をピタっと近づけてきた。
「でもね、わたしわかるんだな。」
「こうして欲しいんでしょ?」
って言うと、マスクを外して、スッと僕のくちびるに彼女のくちびるを重ねた。チュッとしただけじゃない。ずっとくちびるを重ね合わせたまま…
 甘くてすごくいい香り。ふわふわしたくちびるの感触。柔らかくて気持ちいい。初めてのキスだった。
 そのまま目を閉じた。

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