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シャイニーストッキング

第2章 絡まるストッキング1

 112  佐々木ゆかり ④

「なんだ、賑やかだなぁ」
 大原本部長がそうわたしに訊いてきた。

「あっ、なんか…」
 どうやら武石健太が蒼井美冴に足裏マッサージをしていて、それを越前屋朋美が気づき、蒼井美冴に代わり足裏マッサージをしてもらっているようなのだ…
 と、簡単に説明をしたのだ。

「ほおぉ、足裏マッサージかぁ…」
 そこでわたしはピンと閃いた。

「いいなぁ、わたしもしてもらいたいわ」
 そう本部長に言ってみたのである。

「おっ、そうか、いいぞ、してやろうか」
 軽く本部長は応えてくる。
 そのやり取りを上野涼子が見ていて驚いた顔をしてきたのだ。

「いいんだよ上野くん、こんな酒の席は無礼講だよ、なんなら佐々木くんの次にしてやるぞ…」
 そう笑いながら言ってきた。
 だが、そのすぐ後に、本部長はこの足裏マッサージの意味を、いや、フェチ的な意味を察知したようであったのだ。
 それはマッサージをしようと差し出したわたしのストッキングを穿いたままの爪先を見て、目付きが変わったのである。

「じゃあ本部長、ありがとうございます、すいませんお願いします…」
 わたしは隣にいる上野さんの手前、わざとそうへりくだって言ったのだ、そして横座りになり、左脚の裏側の爪先を差し出した。

 本部長はそのわたしのストッキング脚の爪先を見て、一瞬凝視をし、すぐにわたしの目を見てきたのである。
 その目には
 そうかっ…
 と、いう意味と、急激にフェチ的に昂ぶった感じの、ややうっとりとした目をしてきたのだ。

「はい…」
 わたしは本部長のその目に対して
 そうなんです…
 と、いう意味を込めて返事をしたのである。
 そして本部長は嬉々とした、愉悦の目をしてわたしのストッキング脚の足裏マッサージを始めたのだ。

「あっ、いいっ」
 あまりの気持ち良さについ、そう声を漏らしてしまう。

「おい、そんな声出すなよ…」
 本部長は複雑な笑みを浮かべ、そう呟いたのだ。

 だが、本当に気持ち良いのだ…
 ただし単純に足裏マッサージとしての気持ち良さと、もう一つのストッキングラブとしての二つの気持ち良さ、快感がある。

 やっぱり、健太と蒼井さんのあの二人の間には…

 何かが起きた、いや、起きている筈なのだ。

 起きているに違いない…





 

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